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変わるもの、変わらないもの

最終更新: 7月5日



こんにちは。

コロナ禍で社会が大きく変わりましたね。

みなさんの周りでも「変わったもの」と「変わらないもの」があったのではないでしょうか。

今日はクラシック音楽における「変わるもの」と「変わらないもの」についてお話ししてみたいと思います。



まずクラシック音楽は昔から「変わらないもの」というイメージが強いと思います。僕もそういうイメージが10代の頃は漠然とありました。

クラシック音楽は「変わるもの」と強く実感したのはパリに留学してからで、当時コンサートに足繁く通ううちに、だんだんとそう思うようになりました。


余談ですが、パリは貧乏学生が音楽を楽しむには最高の街で、当時は1000-3000円程度でコンサート、オペラ、バレエなどが観劇できました。


そうやって毎晩コンサートを聴いていると、同じ演目なのに毎回全然印象が違うのです。

それはオーケストラや歌手が同じ場合でも、観客の雰囲気、天気、その時の社会情勢によって大きく変わりますし、プログラムもそういった柔軟な見方が出来るものを選んでいる印象でした。

何よりその場でしか味わえない生演奏の緊張感は、決して昨晩と「変わらない」とは言わせないぞ!というスゴさを感じるものでした。

時には深く深く感動して、パリの薄暗くて華やかな夜の街を、狭い自分のアパルトマンまで歩いて帰る喜びを今でも忘れられません。

そこでしか味わえない音楽の力は、たとえ同じ演目でも「毎回違う」種類のものでした。




では「変わらない」ものはなんでしょうか。


それはおそらく「変えない」ようにしているものだと思います。

意識的にせよ無意識的にせよ、人は「変えない」という選択をします。音楽でいえば、オーケストラの伝統のある音や、ホールや劇場の雰囲気を「変えない」。毎週金曜日はコンサートというルーティンを「変えない」友人もいました。なぜならそれは、守らないと無くなってしまうものだからです。そしてその努力が、ノスタルジックで味わいのある感動や、この劇場に来れば心が躍るという強い安心感をうむんだなぁと思います。



いまもう一度コロナ禍で、みなさんの周りの「変わったもの」と「変わらないもの」を思い浮かべてみて欲しいんです。


「変わったもの」に心が動かされたのであれば、それは変えていっていいものだと思います。「変わらないもの」に安心感を感じるなら、それは変えなくていいものです。

ただそうじゃなければ、何かより新しい可能性が秘められている方へ、違った流れがあるんじゃないかなぁと思います。


今回のシューマンの「三つのロマンス」を通じて、僕はクラシック音楽の未来にそんな事を感じました。

変わりゆく時代の、変わらぬ愛を信じて。






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