江戸時代から伝わる音をそのままに vol.2



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さて、前回に引き続き、尺八の話を進めていきます。尺八はどのようにできるのか。


「尺八の作り方」

私は地無尺八を自分で作り、そして吹禅します。その作り方を少し紹介します。私は毎年、尺八用の竹を11月~2月のうちに採りに行きます。竹は通常水分を目一杯吸い上げているのですが、冬の期間は吸うことをしなくなります。ですので、この時期に竹を採ります。竹の質感など、一本一本の個性を楽しみながら竹林で過ごすのは格別です。


竹を採った後、竹の根を処理して(石などが挟まっています。)、油抜きをします。竹を火に炙り、竹の中の水分と油を抜きます。虫をつくのを防ぐ効果があります。そして曲がっている竹は、温かいうちに溜めて、真っ直ぐに矯正します。その後、本当であれば五年くらい竹を寝かせます。そのくらいすると竹が落ち着くそうです。私は短いですが、最低半年、寝かせます。そうしてやっと尺八作りに入ります。実際に作ってみると自然のものなので、音程が悪かったりする場合もあります。しかしそれはそれで愛着が出ます。


「尺八の不思議」

作るという話で言えば、地無尺八はとても不思議な話があります。遡る事600年代、尺八の原型が中国から伝わった当初は、尺八の手穴は6つでした。それが何故か江戸時代には手穴が5つに減っていました。楽器全体的な改良から見ると、増える事があっても減る事はありません。中国ではピッチなど正確性を求めて向上されたのにも関わらず、日本の場合はそうした部分が削がれていきました。



「尺八の聴き方」

ここからは少し難しい話になります。地無尺八の世界には「一音成仏(いっとんじょうぶつ)」という言葉があります。一音に宇宙があるという意味です。様々な意味が考えられますが、私は空(くう)の世界観を感じます。生き物は、生まれてから死ぬまで呼吸する。それは一息にも同じ事がいえ始まりと終わりがある。それを一音に例えるとどうでしょう。「無」という名の音から始まり、雑味ある音に変化し、しっかりした音に変化。そして次第に響きある音に変わり、無を漂わせる空間として消えていきます。これが地無尺八で必要とする呼吸と音です。また、西洋では同じ音の高さ(ピッチ)には一つの音しかありませんが、尺八には陽 (よう:明るい音)と陰(いん:暗い音)が存在します。つまり、空の「色即是空 空即是色」の世界観で す。こうした音を自身で出す為には意識ではできません。いかに無意識の中で吹禅できるかが大切で、身体に染み込ませる事が大事になります。演奏は「居る」を目指すの対して、地無尺八は「在る」状態を作ります。ですので、自然音に近い音が良いとされています。どうか尺八を聴く時は、笹の葉が風で揺れるような、虫の音を聴くようなそのような気持ちで聞いてもらえれば幸いです。



如何でしたでしょうか。

尺八のイメージが少し変わったでしょうか。

ちなみに余談ですが、尺八をイメージする際、よく言われるダントツのトップがあります。それは、「おじいさんがしている楽器」です。確かに高齢の方が楽しんでいるのも事実ですが、現在は若い世代も楽しんでいます。また男性が多くしているイメージも多いようですが、女性の方も増えています。


西洋楽器とはまた違う楽しみ方が民族楽器にはあります。

これを機会に新しい世界に触れてみていただ けたら嬉しいです。


では動画でお会いしましょう!



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